niponica

2025 NO.37

Menu

交流する都市、大阪

4


大阪流コミュニケーションが生まれる場所

集い、笑い、語り合い、趣味を楽しむ。
交流都市・大阪には、集まりたくなる特別な場所がある。

写真●栗原 論、PIXTA

気軽に参加できる語りの場

大阪の中心地・梅田の北、下町の風情が残る中津を中心に開催されている「ハイパー縁側」は、2019年から300回以上も続けられているトークイベントだ。「縁側」とは、日本家屋に見られる屋内と屋外をつなぐテラスのような空間のことで、外の人でも気楽に立ち寄れるようにと名づけられた。地域の経済問題から音楽の話まで、テーマはさまざま。好きな時に気軽に寄って、集まった人と交流する。人の縁もつながる特別な場所だ。

ビルの半地下スペースを使った開放的な空間

大阪の街づくりについて語り合う (写真=ハイパー縁側。2点とも)

伝統芸能になった「笑い」を観る

大阪の方言は、笑いやユーモアと相性が良い。なぜなら、大阪の笑いの芸能は、17世紀頃に大阪で発祥したとされる落語にその源流を求められるからだ。落語は、ひとりの噺家が、滑稽な話を語り、身ぶりだけで何役も演じ分ける話芸である。軽妙で明るい大阪弁を活かした上方落語が毎日上演される「天満天神繁昌亭」の客席は、笑いの本場で話芸を堪能しようという人々で、昼夜を問わず溢れている。

大阪弁の軽妙な語りに思わず引き込まれる

大夜には1500個の提灯が照らす

伝統ある俱楽部で駒を動かす

かつて大阪の下町には、囲碁や将棋などの伝統的なボードゲーム愛好者が集まる「会所」が数多く存在した。関西名人を自称した伝説の棋士・坂田三吉(1870~1946)の活躍もあり、町の将棋会所が熱気で溢れた時代が長く続いた。近年、会所は激減したが、会員制の「大阪俱楽部」では、変わらぬ情熱で将棋を指す同好の士が集う。商都で活躍したビジネスマンが今度は将棋で腕を競う。

将棋を愛する仲間が集い、勝負に興じる(提供=大阪俱楽部)

東京をしのぐ大都市へと発展した大阪の栄華を伝える「大阪俱楽部」の建物

長居したくなる憩いの空間

喫茶店の数は、全国でも大阪府が最も多い。近隣の貿易港・神戸からコーヒー豆が流入したためといわれるが、チェーン店より個人店に人気が集まるのも特徴的だ。食事メニューが充実した「喫茶サンシャイン」には、休息だけでなく朝や昼にも多くの常連客が訪れる。居心地のよさについ話し込んだり、初めて会った人と打ち解けたり。喫茶店は、のんびりとお喋りを楽しみたい大阪人の格好の憩いの場所になっている。

手焼きでふわふわに焼き上げる「ホットケーキ」が人気

落ち着いた色調の内装と、柔らかな照明がくつろぎを生む店内

レトロな店構えは若者にも好評